第119回
設定による突破 金剛番長
 勃起してるか? おっ立ってんのか、エー、ォアルラッ! ビンビンに漲ってんのかって聞いてんだよ、アー、ゥルラァッ! 
 立ってるって言ったってなぁ、チンコのことじゃねぇんだよ! そんな女の裸を見たり、妹や嬲という字を見るだけで隆々となるもんなんざ、いくら立てたって無意味と知れ! 血液と海綿体の無駄遣いだ。
 女だろうが、インポだろうが、問題なのは男魂が立ってるかどうかに決まってんだろ!
 そんな男魂の持ち主ならば、ヤクザ物やヤンキー物をたしなんでなんぼ。愛読書は「ヤングキング」or「ヤングチャンピオン」or「別冊ゴラク」です、と言って胸張って表街道を闊歩したいものだ。少年画報社、秋田書店、日本文芸社に思想支配された人生、それってとっても素敵なことじゃないですか。
 しかし、男魂はどこに潜んでいるかわからないもの! 「週刊少年サンデー」にそいつは隠れている! というわけで今回紹介するのは鈴木央「金剛番長」だッ、オラッ!

 
 昨今珍しい番長物である。ヤンキー物ではなく番長物である! しかもパロディーやギャグではなく、正義の番長が悪と闘う、正真正銘の番長物だ!
 東京23区にそれぞの区を統括する番長と呼ばれるリーダーを置いて戦国状態にする。そして全ての区を制覇した番長に国家再生をゆだねる……それが政府のもくろむ23区計画。
 そんな正気とは思えない計画をぶっ潰すために立ち上がったのが、我らが主人公、金剛番長!
 日本刀を指で摘み折るパワーと建設中のビルから落ちてくる鉄筋を受けても平気な屈強な体を持つ男、金剛晄。通称、金剛番長! 
 次々と襲いかかる番長をぶっ潰す果てに、番長はなにを掴み取るのか?!
 番長物を作る時の最大の問題は、現代に番長はいない、という事実だと思う。さらに闘う理由を作るのも難しい。あいつが気にいらねぇから、イライラしてるから、若さゆえの衝動から、ブライドのためとか、そんな四畳半な理由は番長にふさわしくねぇ! 男魂をもってるなら大規模な国盗り合戦をしなきゃならねぇ。昔の作品ならそこらへんは雰囲気で流せたが、現代だとそれも難しい。
 だが、しかし! SF的な設定でそこを強引に突破した本作に敵ナシッ! そこを超えてしまえば、後は闘争のワンダーランドだ!
 また「卑怯番長」や「念仏番長」といったパロディー作品にいそうなキャラクターを出し、彼らを熱く描くことで、パロディーの枠を超えることに成功している。この熱さ、最高だ!