第112回
キャラクターの凄み 不気味で素朴な囲われた世界
 何事もやりすぎぐらいでちょうどいいッとはよく言ったもの!
ファックと叫ぶよりファッケスト! 好きだと言うくらいなら愛してると絶叫! オナニーするならアナニー(アナルオナニー)で穴絶叫! ラーメンを食いに行くなら中華料理屋を買収! エロゲーするなら工業用ドリルで脊髄付近に穴を開けて二次元世界にジャックイン!
そのくらいやってこそ、己がどんな人間か世に問うことができるのだッ!
で、僕がなにを言いたいのかというと何事もやりすぎくらいでちょうどいいということなのだ!(最初に戻る)。
   
   というわけで今回紹介するのは西尾維新『不気味で素朴な囲われた世界』だ、オラ。
 大きな時計塔のある上総園学園に通う中一の串中弔士は、奇人と呼ばれる人達と交流を持ちながら、日常に退屈していた。
 日常を変えようと串中弔士は行動するが、どれもうまくいかない。そんなある日、時計塔の下で姉の死体が見つかる。奇人の一人、病院坂迷路に誘われて、串中弔士は犯人を捜す探偵ごっこを始めるのだが……。という学園ミステリー作品。
 本作がミステリーとしてどういった位置にあるのか? というようなことは一切、書きませんし、ネタバレもしないので安心してください!

   僕が書きたいのはキャラクターについてだ。
 作者の代表作である戯言シリーズなどには、強烈な個性を持った奇抜なキャラクター達が大勢登場する。しかし、戯言シリーズは現実よりファンタジーに傾いた舞台設定の作品である。つまり奇抜なキャラクターを受け入れる設定になっているのである。
 しかしだ。本作の舞台はただの中学校。
 奇抜なキャラクターを入れるにしても、中学生、という枠を超えたキャラクターは入れづらい。入れたらリアリティがなくなってしまうからな。
 しかし、である。西尾維新は平然と入れてしまうのだ。しかもそんな人がどうしているのかという説明もなく、いるんだからしょうがねぇだろう、という態度でズバっと入れてしまうのだ。
 ……そんなの難しいことか? んじゃ、ハルヒとはどうなんだよ? などと言ったおまえ! そうじゃないのだ。そりゃ、ハルヒの個性は凄いけど、ハルヒは学校に居てもギリギリ不思議じゃないキャラクターだ。ギリギリのリアリティがある。
 しかし、本作に登場する病院坂迷路にはギリギリのリアリティもない! リアリティで見れば確実にアウト! なんせ彼女は静かなる人払い令と呼ばれ、自分以外のクラスメイト全員を登校拒否や転校させてしまい、入部した吹奏楽部を一人っきりの部にしてしまうというキャラクターだ。
 こんな過剰なキャラをたいした説明もなく現代を舞台にした学園に持ってくる西尾維新の凄みッ!
 まさにやりすぎであり、何らかのメッセージがビシバシと伝わってくるパワフルさ!
 なぜ、こういうことを平然とできるのか、僕にはまだよくわからない。
 よくわからいだけにじっと静かに戦慄している。
 わかってるのは、それが凄いってことだけだ。