第109回
女子中学生の想い ラウンダバウト
 よし! よし! よし! よし! 女子中学生という字面だけでパンツを下ろそうとした奴は帰れ! 勃起した程度なら帰らんでヨシッ! っていうかおまえらは少女に欲情しすぎだ、オラッ! ない乳がいいとか、未成熟な乳がいいとか、痛そうに尖った乳首がいいとか、正気か?! ……まぁ、僕も女子中学生という字面だけでパンツをおろしかねない側の人間なんだが……とにかくそれは置いておくとして、そういう性欲を一切満たさない女子中学生ストーリーだっておもしれぇんですよ?

 というわけで今回紹介するのは渡辺ペコ「ラウンダバウト」だッ!
 女子中学生の慎とその周囲の人々の日常を描いた連作短編集。
 恥ずかしい言い方をしちゃえば、本作は過去と現在をつなぐ大切ななにかを思い出させてくれる作品である。
 少年まんがのおもしろさを友達に理解してもらえないとか、身近な男の子の背が急に大きくなって見えたとか、創作ダンスがだるいとか、そういうなんでもない日常が物凄く印象的に描かれているのだ。
 リアルである、と言ってしまえばその通りなのだと思う。
 だがしかし、本当に凄いのは、その場面をリアルに見せてしまう力量と、印象的な場面に日常を持ってくる力量だと思うのである。
 本作のキャラクターはみんな前向きで落ち込んでも立ち直る。ここにリアルがあるかっちゃ、ぶっちゃけた話ないでしょう? だって落ち込みっぱなしなことだってあるし、そもそも身の回りの人々がみんな前向きな性格だなんてことないもん。
 つまりここで描かれている世界はある種の理想郷だと思うのだ。
 理想郷を描きながら、それをリアルに見せて、現代に生きる人々の心の中にある普遍的なノスタルジーとでもいうべきものを鮮やかに浮かび上がらせるテクニックは半端じゃない。いったいなにを印象的に描けばリアルを手に入れられるのか、ということをわかっているまんが家の強さをいやというほど味わえるぜ。
 そしてそのように描かれた日常の連続は、過去と未来をつなぐ大切なものを表現している。人間は成長して、前に進んで、大きくなる。そういうことがしみじみと胸に染み渡りに染み渡りまくる。
 また、スピード感のあるコマ割りや、ギャグの入れるタイミング、印象的なコマをラストに持ってくる技なども冴えていて、かなりのテクニシャンっぷりを味わうことができる。
 とにかく少女達の大切な気持ちがたっぷりとつまった良作なので、エロで満ちた脳をこいつで洗って2008年は清く正しく生きようぜ! 僕は無理だけど。