第108回
目のキラキラに注目  賭博覇王伝零
 ギャンブルといえばプロレスラーの安田忠夫! 競馬、パチンコはもちろんのこと、次の通行人は男か女か? ということでさえギャンブルにしていたというライフイズギャンブルの人生を貫き通した末にギャンブル依存症という精神病になり、ギャンブルのせいでかさんだ借金が原因で自殺未遂してしまう。
 しかも生還後は、アントニオ猪木に「迷わず逝けよ」などと言われ、スカパーのサムライにゲストで呼ばれたには時自殺未遂自体をギャグのように取り扱われてしまう始末。
 この一件を見ただけでもギャンブルがいかに怖ろしいかわかるというもの。
 

 というわけで、今回紹介するのはギャンブルまんが。福本伸行「賭博覇王伝 零」だッ!
 主人公の少年、零は自殺サイトで知り合った少年三人に、命をくれないかと持ちかける。零と少年達は義賊となるために、振り込め詐欺グループから金を奪い、騙された人に返還した。そのことをきっかけに、零は壮絶なギャンブル地獄に巻き込まれていくのだった……というストーリー。
 心理戦をメインとしたオリジナルギャンブルに、最終的には100兆円もの金が動くことになるらしいという壮大な設定、福本伸行がこういう作品を描いておもしろくならねぇわけがねぇんですよぉ!
 ……でもそれって今までの作品と似たような作品ってことだろ? と思ったそこのキサマ、慌てんな! 本作は過去の作品と決定的に違うんだよ!
 そいつは主人公の目! 
 物凄くキラキラしているのである。どろんと濁った目の主人公もいたし、ギラッと怜悧に光る目の主人公もいた。だけどこんな目の主人公はいなかった。無論、昔に描いていた人情物にはいたけど、ギャンブルまんがを描きだしてからはいなかった。
 なぜこの目を復活させたのか? また人情物を描こうってわけなのか?
 いや、そんなわけがねぇ。っていうか、読めばすぐに違うってわかる。
 このキラキラに輝く目は、正義感の強い少年まんがらしい主人公を描くのだ、という福本伸行の決意表明だと思って間違いないだろう。モラトリアムな屈折もなく、闇世界に生きる屈折もない、正義感のある少年を真っ直ぐに描こうとしているのだ。
 うは〜、こいつは楽しみになってきたじゃねぇか! 
 こんなキラキラの目で、神経を摩耗して死んでしまいそうな福本伸行の描く怖ろしいギャンブル地獄をどのように生き抜くのか? 最後までこの目を保てるのか? それとも濁ってしまうのか? 毒される話なのか? 毒されない話なのか?
 とにかく目に大注目しろってば!