第102回
明るさと暗さと ゲヘヘのヌベコ
 ファックがしてぇ(コーラの入った一升瓶をラッパ飲みして)。
 フェラされてぇ(みかんの缶詰を果肉ごとラッパ飲みして)。
 乳首を指で弾きてぇ(プリンを撫で回しながら)。
 このまま性欲を甘味にぶつけていたら糖尿病は確実だし、尿道に砂糖を入れるホワイトスノーという新技オナニーを開発したり、イチゴのショートケーキに「おまえをたべちゃうぞぉ〜」などと話しかけたりするのも時間の問題。マズい!
 ああぁ、性欲をもてあまし気味の美少女(処女)との同居生活が突然スタートしたりしねぇかなぁ、もう!
 こうなったらそれほど美少女じゃなくてもいい。ただの少女でいいや、それで我慢する。っていうかファックできるなら人並みでいい! っていうか、ちょっとくらいなら人並み以下でもいいや。っていうか人ならいいや! ショートケーキにチンポぶち込むよりマシだろ! っていうか非処女でいいから床上手がいい! それでいいッス!
 というわけで今回紹介するのは鈴木一世『ゲヘヘのヌベコ』だ。
 貧乏で何に対してもやる気のない死んだ方がいいほど絶賛モラトリアム中のフリーターの主人公は、バイト先にいるゲヘヘと不気味に笑うヌベコという女性と一緒にAVを見る事になってしまう。気づくと主人公は精液が天上に貼り付くほどの凄まじいテクニックのフェラチオをヌベコにされてしまい、それをきっかけに深い関係になってしまう……というものだ。
 ヤンマガ系の作品には、ダメっぽい男とダメっぽい女の恋愛まんがが多いという傾向があり、そのどれもがおもしろいという不思議な状況なのだが、その中でも本作は特におもしろい! 僕は大好きッス!
 なにがいいって、雰囲気だッ!
 くだらなさ、どうしょうもなさ、切なさ、という絶望系のモラトリアム全開な雰囲気なのに、明るくて爽やかなのだ。逆に言えば明るさの中にやるせない暗さがある。
 暗さだけだと読み続けるのが心の負担になる。明るく爽やかなだけだと心に何も引っかからず印象に残らない。
 暗さと明るさがいい感じで僕の胸にズキュンと入るのだ。
 状況をバカバカしく描きながら、愛って家族ってなんだろう、という作品のテーマをしっかりと読者に届けるこの方向性、好きだぜ。
 しかもそういった陳腐っちゃ陳腐なテーマを上手とはいえないまでも、ストレートに表現するのではなく、作品世界の中に一度ちゃんと下ろしてから表現しようとしているのがナイスです。新人のまんが家の方は、メッセージをストレートに書いてしまって、キャラクターの青臭さじゃなくて、作家の青臭さを表現しちゃうことって多いじゃないですが。鈴木一世は新人ながらちゃんとキャラクターの青臭さを描こうとしている。そこが偉いッ! マジで!
 鈴木一世はかなりのまんが家になるんじゃないでしょうか。期待してますッ!