第99回
あの世代になにがあったのか山本直樹『RED』
 ウイッス! 二十代半ばから三十代はじめくらいの世代にとって「?」と感じるものの一つに全共闘があるんじゃねぇでしょうか? 大学生が国家を敵に回して、革命を起こそうと、命がけで闘っていたなんて、全然ピンと来ないでしょ? 僕は来ない。なんせオレは大学生の頃、エヴァに夢中で、大人になったら『赤ずきんチャチャ』のLDボックスを買うんだ〜、とか思ってたわけですよ。
 命がけで国家と闘うなんて想像の超埒外。真剣に考えたらオシッコ漏れ出しますよ!
 今という視線で彼らを肯定することも否定することも簡単だと思う。個人的には敗戦という大失敗を身近にしてんだから左翼にならねぇわけがないよなぁ〜、と思うんだけど、そんな漠然とした思いでは届かないすげぇ断絶を感じる。
 闘えるか? という疑問の前に、闘う理由があるか? と思ってしまう。

 というわけで今回紹介するのは1962年〜1972年の日本を舞台に、革命運動に参加した若者達を描く群像劇、山本直樹『RED』だ。
 本作の山本直樹の筆捌きはゾッとするほど冷たい。前から冷たいけど今回のには慄然としてしまうぜ。
 キャラクター達の表情は一見、生き生きとしているのだが……どの表情も冷たいのだ。
 これは人間を冷静に観察して表現する、という山本直樹の強烈な意思の表れなのだろう。
 そして、ことあるごとにキャラクター達が逮捕されるまであと何日、死刑確定まであと〜日というモノローグが書かれており、緊張感と突き放した雰囲気を高めている。
 さらにそれらを高めるのが、死ぬキャラクター全員に@Aといった番号がふられている所だ。この番号は死ぬ順番なのだ。
 キャラクターが死ぬ場面は簡単に物語を盛り上げられる場所じゃないですか。そして死ぬキャラクターを読者に知らせない方がより盛り上がる。それを放棄する代わりに、なぜこの人が死ぬのか? いつ死ぬのか? 
 という緊張感で作品全体に張り巡らせることに成功したのだ。
 この冷たい視線は、僕と全共闘の断絶を深めるようでもあり、理解を深めるようでもある。いったい彼らの心になにがあったのか。
 緊張しながら読み続けたいと思うぜ!