第88回
暑いからSFだ イムリ
 クソのように言ってやるぜ、チクショーッ!
 毎日毎日、暑いじゃねぇか! こんな季節にホラーなどとわけのわかんねぇこと言っているんじゃねぇよ! 鳥肌が立つほど怖い話なんかそうそうありゃしねぇんですよ!
 暑い時はSFだ!
 作者の作り上げたインナースペースに逃避して暑さをわすれろ、オラッ!


 というわけで今回紹介するのは傑作の匂いを嫌みなほどぷんぷんにまき散らしてやがる三宅乱丈の漫画『イムリ』だ。
 四千年前の戦争で凍結してしまった隣の惑星への帰還事業がはじまっている惑星が舞台。
 ストーリーは支配者層の寄宿学校で学ぶ新入生の主人公が帰還先の惑星への研修旅行の学生代表に選出され、過去の暗い歴史にふれることになる……というものだ。
 この説明じゃピンと来ない人が多いだろうと思う。
 本作が最高に素晴らしいのは緻密な世界観とストーリーのバランスが抜群すぎる点にあるのだ。最初のうちはなにもわからないから、ストーリーを頼りにして不思議な物語を読み進むうちに、自然と世界観がわかりはじめ、世界観がわかりはじめるとストーリーが深みを増す。
 それの無限連鎖が本作! 
 読み進めれば進めるほどにストーリーも世界観も深みを増すなんて素敵すぎるぜ!
 ガチガチの設定を最初から説明しようとして変に難解になったり、ストーリーだけが進んでいて世界観がよくわからん、という作品がたまにあるじゃないですか。本作はもうストーリーはおもしろいし、世界観がわかるのがまたおもしろいのだ! 
 しかも違和感なく入っているという見事な作り! 
 ぬぬぬぬっ、そういう世界観だからこういうストーリーなのか! と何度も大絶叫!
 そして相手の精神を乗っ取るという魔法のような技術を使ったバトルがまた熱いんですよぉ! とにかくこういう特殊なバトルのルールを作らせたら三宅乱丈はピカイチ! ビバビバですぉ!
 SF好きは勿論すぎるほど勿論買いだし、難しそうなSFはイヤ! なんてナメたことを言っているおまえも即買いだ!