第85回
文学であることの素晴らしさ『エロマンガ島の三人』
 なんか原稿を書いていると顔面が痛くなる!
 そんな状況でものんべんだらりと行くぜ、ファック!


 というわけで今回紹介するのは長嶋有『エロマンガ島の三人』だッ!
 実在する有名な南国の島、エロマンガ島に雑誌の企画でエロマンガを読みに行くことになった主人公。一緒に行くのはかなりガチなアニオタ編集者と、急遽同行することになったゲーム会社の妙に謎めいた男。主人公達が南国の独自の雰囲気を味わっている最中、東京では主人公の彼女のが別の男とお酒を飲んで危うい雰囲気に……。
 ぐばっ、くんはっ! とおもしろい作品じゃねぇです。
 だけその分、じわ〜と来るんですよ!
 このストーリーはゲーム雑誌編集者の実話を元にしたものだそうだ。
 エロマンガ島に行く、しかも持参したエロマンガを読みに行く、というなんとなく間抜けな出来事がもうすでに抜群おもしれぇじゃないですか!
 だけどそういったおもしろさっちゅうのは、エッセイやコラムのおもしろさだと思うのだ。
 エロマンガ島に行っておもしろエッセイを書けって言われたら、僕だってほいほいオモシロ原稿を書きますし、書けますよ! ぽこぽこ書きますよ!
 長嶋有が凄いのは、そこに純文学的ななにかをつけくわえたあげくに、元のおもしろさを少しも損なわない部分だ。
 人間をしっかりと描き、文学的なテーマを漂わせながら、エロマンガ島に行くというおもしろさを少しも消さない。
 さらに凄いのがその文学的なものとエロマンガ島に行くというバカバカしさを対比させておもしろさを出しているわけではなく、融合させておもしろさを出している部分なのだ! こういう時って状況のアホさと、状況の真剣さを安易に対比させちゃいそうじゃないですか。
 エロマンガ島に行くという状況を立派な私小説風にまと、それでいてエロマンガ島に行くというバカバカしさをしっかり表現するこの実力たるや慄然ものだ!
 長嶋有の実力に深く感動しました。みんなも感動しろ!