第74回
『世界一のうるし漫画! 青春うるわし! うるし部』

  漆の時代が来た!
 母親の子宮にいた頃から、そんな時代が来そうな気はしていたのだ。
 今や街を歩けば、漆塗りのバッグを抱え、漆塗りの靴、漆塗りのジーンズ姿の若者だらけ。さらにはコンドームまで漆塗りという始末! そうやって全身を漆でかぶらせるのが西海岸(対馬とかそこらへん)では大ブーム!  そんな夢を見た! 見たような気がした!
 というわけで今回紹介するのは堀道広『青春うるはし!うるし部』だッ!
 本作は13年間、漆工芸の仕事にたずさわっていた作者が描いた、間違いなく世界で一番のうるし塗りまんがだ!
 …うるし塗り? そう疑問に思う人もいるだろう。
 だが疑問に思う必要などないのだ。
 あのうるし塗りなのだ!
 そうお椀などに塗ってある、あの黒や紅にピカピカと光るアレだ!
 ストーリーは尻毛高校のうるし部に入部した若者達が、うるしを通して成長していく、というものだ。うるし塗りの詳しい解説とスポ根まんがなどのパロディー的なギャグが合体した、想像を絶するとしかいいようのない作品なのである! 驚け!
 さすが専門家だけあってうるしに関する作者の知識は半端ではなく、実用書として出しても充分通用するレベルに達している! …いや、まぁ、うるしをぬったことがないので、本当に達しているのかどうかは自信がないけど。とにかくこれだけうるしについて総合的に知ることのできる本は活字でもあまりないんじゃないだろうか?
 そしてまたギャグがいい! 主人公の熱血男子がうるしの知識を聞くたびに、大げさに驚く場面が特に素晴らしい! 微妙にツッコミ不在で投げやりな雰囲気が漂っているのもまたヨシだ! こういうギャグだと笑いどころがわからなくて、つまんねぇ、と思ってしまう読者の方もいるかと思う。だが、こういう作品は読者の側からどんどん心の中でツッコンでいくのが粋って奴だろう、オラッ! そうやって作品と会話をするのもまた楽しだぜッ!
 女の子の首が異常に長く、男の首が異常に太いという、変としかいいようのない絵なのだが、それもまた味! 高橋陽一(キャラクターの足がどんどん長くなる)、武内崇(キャラクターの腕がどんどん長くなる)がかかっている病気の一種だと思えばなにかに納得できるに違いねぇ! それにしても首が太ぇなぁ〜。
 ……良くも悪くもガロ系の匂いが濃厚に漂う作品なので、好き嫌いは分かれるだろうが、こんな作品が二度と出ないだろうこともまた事実! 手に入るうちに買っておけッ!