第71回
モッブで汝の凄さを知れ
 ヤクザと警察とパソコン少年がクレイジーバトルを繰り広げる84年に発売された原作滝沢解、作画池上遼一のまんが「モッブ」を読む。
 2部構成になっており、1部は殺された親父の復讐のため、拳銃を撃ちまくって、シャブを打ちまくって、人妻を犯しまくって、風呂でもサングラスを外さない一本筋の通りすぎたヤクザが、ブレーキの壊れたダンプカーのように暴走しまくる話。
 で、2部がそのヤクザの弟の少年とと頭脳明晰なパソコン少年が、社会という名の敵に復讐を挑む、という話になっている。
  パソコン少年が「もっと強くなりたい……強くして、おねがいだよPC8001!!」と泣きじゃくる名シーンがあったり(8ビットパソコンには荷の重いお願いだ)、壮絶な女性蔑視な思想が貫かれていたり、胸がすーっとするほど伏線を豪快にぶっちぎった最終回だったり、いろいろ読み応えのある作品だ。
 キャラクターだけでなく、わけわかるけどわかわからん理屈っていったらいいのか、とにかくそういった変な理屈と壮絶な物語構成もふくめてド熱い作品であることは僕が保証しよう。オークションとかで高値がついてたらわざわざ買う必要はないけど、古本屋とかで見かけたら即買いだ! 
 …んで、だ。個人的に本作の最大の特徴だと思うのが「汝」と書いて「おどれ」「おぬし」と読ませる独自の台詞回しだ。こんな特異な読ませ方だというのにルビがついていない場合が多く、ついつい普通に「なんじ」と読んでしまう。
 そうなると、
「兄貴なめとるんか汝ーッ!!」
「汝の兄が、どないな外道かわかっとるやろうが」
 などという暴力的な台詞の中に現れる「なんじ」という高尚で高貴な単語が異様な光りを放ってもう、射精を連続で寸止めされるのが気持ちいい、みたいなわけのわからん気持ちになるのである!
 この違和感は無限の可能性を秘めているんじゃないだろうか?
 例えば修羅場った別れ話の最中に「汝とはやっていけない!」と叫べば、その異様さに相手も冷静さを取り戻すだろう。
 明らかに相手が悪い時に発生したイザコザだって「これ汝のミスでしょ?」と言えば、「我のミスでした」となってくれるはず!
 これからは汝の時代! 
 オタク同士の会話で使うと違和感が引き立たず、ただのギャグ二人称になってしまいそうだけどな、ファック!