第56回
桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』
 最初にどうでもいい話をしていい? いいですよぉー!
 ……僕はお腹が極端に弱いんですよ。そしてアナルオナニーをしているわけでもないのに、肛門の締まりも悪いんですよ。
 ……というわけで先日、駅の片隅でおならをしようとしたら、ちょっぴりもらしちゃいましてね、大を。
 まぁ、それだけならよくある話ですよ。
 便所直行してパンツを脱ぎ、駅の近くの百円ショップでパンツを買えばいいだけの話。
 さっそうとトイレから出た僕は駅の改札に向かって歩きましたよ。
 ズボンのチャックを上げ忘れたままな!
 …………。
 …………。


 今回紹介するのは、桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』だっ!
 いんらんな母の元に生まれた川村七竈は、異様に美しく生長した。
 彼女は鉄道模型と親友の雪風を愛して、変わらない毎日を静かに暮らそうとしていたのだが、時間とともに周囲も自分も変化してしまうことに七竈はゆっくりと気づいてしまって……というストーリー。
 ウッシャ! うん! これは傑作!
 個人的な意見だけど、桜庭一樹作品の中でもっとも完成度の高い作品じゃないでしょうか。マジでビバですよ! 
 桜庭一樹の作品はおもしろいんだけど、心にもにゅもにゅしたものが残るっちゅうか、物語はすべて語られていないんじゃないかという不安感を抱かされてきたというか。
 言い方は悪いけど、残糞感というか、このコースはビールだけ飲み放題じゃありませんと言われた時の気分というか。
 そういった部分の引っかかりも魅力っちゃ魅力なんだけど、本作にはそういった部分がないのである。
 鮮やかなまでに綺麗に完結しているのだ。
 それでいて心になにかがしっかりと残る。
 心のひだに、ぐわっ、としがみついてくるものがあるのだ。
 桜庭一樹め、一皮剥けやがったなコンチクショウ! 
 コグラチュレーション! スタンデングオペーション!
 見事なのはそういったところだけでなく、美少女のヒロインと親友の美少年を中心とした人物関係も、静かにスリリングなストーリー展開も風景描写も見事!  極端な荒波はないけど静かで緊張感のある日常描写の連続が、本当に凄いッ。日常の持つほんわかさと緊張感がこれだけバリバリに出ている作品もそうそうないですよ。
 とにかく渡辺僚一絶賛の一冊です。(渡)