第46回
ジーン・ウルフ最高!

 ジーン・ウルフの『ケルベロス第五の首』と『デス博士の島その他の物語』を出版した国書刊行会は偉いッ! だてに魔術の本を腐るほど出しているわけじゃねぇな。ガンバレ! もっとガンバレ! もうどうしてこんなにおもしろいんでしょうか、ジーン・ウルフ? 紹介するには完全に時期を逸しているが、んなこたぁどうだっていいじゃねぇか! 昔の作品のレビューばかっかりしていることを考えて相対的に見ればまだまだ新しいほうじゃねぇか、なっ?
『ケルベロス第五の首』は連作短編集で必要以上の深読みを強要される作品なので、とりあえず今回は『デス博士の島その他の物語』を紹介するぜ。
 この短編集に集録されているのは、孤独な少年の前に本の登場人物達が現れはじめるメタ的な作品「デス博士の島その他の物語」。文明が崩壊したアメリカをイラン人の青年が訪れ、そこで不思議な体験をすることになる「アメリカの七夜」をはじめとした5作品。 ぐいぐいと引きつけてきやがるストーリー展開、独自なキャラクター、緻密な世界観、細部に隠された謎、どれもこれもが超高レベルで、しかもそれが全部魅力的なのである。
 しかもだ! 世界観の鍵となる部分は物語の中で隠されていたり、欠落していたりするのである。だから、一度読んだだけでは作品を理解するのは難しい。
 しかし、どこかに謎が隠されているのはなんとなくわかる。それを知りてぇ〜よぉ〜となったらもう最後である。デスエンドである。
 知りたければもう一回読めばぁ〜、と本が蠱惑的にうったえかけてきやがるのだ。
 いくら忙しい時でもこの声に抵抗なんかできねぇですよ!
 おもしろい作品が再読を強制させてくる、というこの恐怖! もう、僕は一時期外出時には本作を必ず携帯! 財布を忘れても本作だけは忘れませんでしたよ。
 伏線とはこう張るのだ! 物語に深みを持たせるとはこういうことだ! そんな叫びがガンガンに本から響いてくる。
 物語の真相を最後まで隠しながら話をすすめるというこの手法、下手をすればただのわけのわからん小説になりかねない。意味わかんねぇ、の一言で断罪される可能性だってある作品だ。
 そこを超魅力的に描けるのだからジーン・ウルフは凄ぇ!
 とにかくこのあまりに楽しき再読地獄ッ! 
 この緻密に作られた作品を諸君らも味わってみやがれってば!
 ダメな人はダメかもしれんからそこらへんは己の判断で頼むぜ、ベイビー!