第45回
禁止されるまで遊べ 江戸妖怪かるた

 諸事情あって『江戸妖怪かるた』を入手!
 こいつは江戸時代に流行したという、貴重で美しい『妖怪かるた』を復元したものだ。そもそも妖怪カルタとはなんぞや、というと、それは単純に格言やことわざの代わりに、妖怪が描かれたカルタである。
 んっ、もうこいつが素敵にりだ!
「きよもり福原のくわい」(平清盛が妖怪に襲われたという話から)
「いどから出るさらやしき」(有名な皿屋敷の話から)
「はにふむらのかさね」(茨城県で江戸の始めにおこった因縁話から)
 などなどの物語をモデルにした札が多いのだが中には、
「へいごしのゆうれい」
「そらをとぶ人玉」
「るすの間にでる出るぱけ物」
 などという、それってわざわざカルタにするような事柄か? というテキトーなものもあって楽しい。
「るすの間に出るばけ物」っていいよなぁ。留守の間に出るんだから家の人は見ることできねぇんだよな。留守の間の家には妖怪がいるかもなぁ、なんてことを想定する人生っちゅうのはいい塩梅に余裕ありすぎな感じがして素敵だ。ビバ、江戸!
「へいごしのゆうれい」っていうのもいい! 塀越しだから、これまた見ることできねぇですよ。塀の向こうに幽霊がいるかもと想定している人生……これは余裕なさすぎな感じだな。ビクビクして生きてんじゃねぇ!
 絵札もひょうきんな味わい深さがあって、見ているだけで結構楽しい気分になれる。その中でも撞木娘の造形はスピルバーグのETそっくりでちょっと驚く。スピルバーグの野郎、ぱくりやがったな! ……まぁ本当にぱくってたらそっちの方が凄いけどな(嬉々として妖怪カルタするスピルバーグの姿を想像するとほんわかした気分になりますね)。
 さて、この本には解説本がついているのだが、その中にちょっと衝撃的なことが描いてあったので紹介しよう。
『「カルタ」という語は、ポルトガル語、スペイン語の「Carata」に由来し、その起源はタロット・カードであったとされる』
 なっ、なんとカルタの起源はタロット・カードだったのだ! おいおいおいおい、こんなもん伝奇小説とかオカルトまんがとかが放っておかねぇネタじゃねぇのか? ……いやよく考えると使いづらそうだな。「オレの能力は『犬も歩けば棒に当たる』だ!」とかダメっぼ……いや逆に新鮮でカッコイイかも! 誰かやれ! 
『江戸時代になるとカルタ賭博は幕府の目に余るものになる。禁令がだされて取り締まりの対象となり、ついてに全面禁止の時代がやってくる。(中略)江戸時代中期には賭博の罪だけで遠流になるほどの厳しさであった』
 入れ墨バリバリの強面の博徒が「その『花より団子』はオレが先に取った!」とか叫びながら金を動かしてたのだろうか? それを幕府に見つかってどっかに流されるって……なんか不条理ドラマのような話だ。
 よっしゃ! 再び禁止令が出されるくらいの勢いで僕はこの妖怪カルタをやってやってやりまくるぜ! おまえらもこれを素早く購入し「オレの方が『へいごしのゆうれい』先に取っただろうが、ぶっ殺す!」などと無闇にヒートアップしろ。そしてオナニーして寝ろ! わかったら帰れ!
 あっ、箱に京極夏彦が一文を書いているけどそこだけで解説本を書いたりはしていないので注意だ。