第44回
吸血鬼は存在するのか? コリン・ウィルソン
 吸血鬼は存在するのか?
 普通、この疑問からしてありえねぇ。だって存在するわけねぇもん。
 ――吸血鬼は存在するのか?
 こう書くとなんか頭の悪そうなライトノベルの出だしみたいで素敵だ。んなことはファッキンどうでもいいとして、曲がらない男の座標軸を持つ我らからコリン・ウィルソン先生は『世界不思議百科 総集編』の中でこのような疑問を提示し、このように答えておられる。
 ※ウィルソン先生の偉大にもほどがある超偉大っぷりについては以下を参照せよ!

http://www.pure.cc/~hanpa-m/HANPAMANIA/watanabe/watanabe25.html
http://mafuare.com/modules/tinyd1/rewrite/040.html

『理性を備えた人間は「吸血鬼は迷信に過ぎない」と考えて当然だ』
 なんだこうだ理屈をこねならがらオカルト話を肯定してしまいがちなウィルソン御大もさすがに吸血鬼の実在までは信じられておられないご様子。一安心だぜ……と思いきやすかさず、
「これをまったくの絵空事と退けるのはいかにも困難」と来るのだから最高! さすがウィルソン大先生ッ! 吸血鬼の不在を退けるのは困難ですか! いや、もう、ねぇ? ……マジで? 困難なの?
 ウィルソン師匠は18世紀のオーストリアのメジペジア村で発生した事件を紹介して吸血鬼の実在を匂わせる。当時の陸軍将校が書いた、吸血鬼が村人の血を吸って数人を死にいたらせた、という内容の報告書があるらしいのだ。ここから話はワラキア公国の王様の有名な話へと移行し、さらには古代ギリシャに吸血鬼の痕跡をさぐり、いろいろな実例を紹介し、何やら怪しげなフロイトの弟子の意見とかが出てきたあげく、衝撃的な結論に達する。
 それはズバリ言ってこうだ。
 吸血鬼とは性欲を持った地縛霊のこと。
 …………。
 えっ?
 えっぇええ! マジで?
 地縄霊って! そっちの実在がまず信じられないですよ、っていうかどうしてそんなことになったんですかぁ!
 ……いやまぁ、読んだからどうしてそんなことになったのかは知っているんだが、それにしても……ねぇ?
 …………。
 …………。
 ……地縄霊はねぇよなぁ。戦慄するぜ。
 ウィルソン御大が必至に中立を保とうとしてらっしゃる雰囲気は文章から伝わってくるのだ。吸血鬼なんか存在するわけねぇじゃん、と言っている人の意見も参照しているし、存在しないと私も認めるかもしれない、みたいなことも書いているし。
 そんな心理的葛藤が伝わってくるというのに出た結論がこれですよ。中立的な立場で書こうとしてもこれですよ。
 いったいどいういう思考が働けばそんなことになってしまうのか? しみじみと無茶な男だ、ウィルソン。
 とにかくみなさんも吸血鬼は性欲を持った地縄霊のことだと肝に銘じて今日は帰ってください。いいですか、吸血鬼は地縄霊ですよ!