第40回
バカポルノ小説
 ウイッス! 今回はいきなり行くぜッ、セックス!
 紹介するのは、C・ウィルソン『現代殺人の解剖』だ。
 古くからの殺人と現代殺人は何が違うのか? といったことをテーマにした一冊なんだが……その中の第三章「ポルノと報酬漸減の法則」がおもしろくてたまらんのである!
 ここで語られているのは「ポルノ作品はその時代の幻想と病の性質を反映する」「ポルノは性行動の底にひそんでいる祭儀パターンを示している」といったことなんだが、今はそんなこたぁどうだっていいんです! ここで引用されているポルノ小説があまりにもアホらしくて素敵なので紹介したいのだ。
 ……本の中で紹介されている作品をさらに紹介するのかよ! それってなんだか卑怯じゃねぇ? と思う向きもあろうが、まぁ、おもしれぇんだからいいじゃねぇか、なっ?

 アメリカのノーマン・シンガーさんが書いた『サンフランシスコを強姦した男』はペニスが大きすぎて妻と正常な性交ができない男が犯した連続強姦事件を描いたものだ。そしてその具体的な内容は……。
 ……主人公は強姦する時に不当な暴力をふるわない。なぜなら女達はみな彼の怒張した物を見たら気絶してしまうから! この設定の強烈なアホらしさに頬がニヤニヤしてしまうのに、主人公を追い詰める刑事のペニスは3インチしかない、と来るのだからもうねぇ! 大と小の戦争ですよ! そんなもん大が勝つに決まってる。
 そして物語のラストは主人公の示した模範(!)によってセックス革命が発生! 何千人という人々がゴールデン・ゲージ公園でやりまくる事態に! それを解散させに集まった州兵までが革命に参加する始末。この状況に絶望したのか、潔癖な女市長と州知事は冷凍屍体置場に行って冷凍睡眠に突入。主人公は救世主のようにサンフランシスコを去る!
 どうですか、この完璧なアホ小説。
 よっ、よっ、読みてぇ〜。凄ぇ展開だ。バカすぎ!
 どういう経緯で、巨根男の強姦事件がセックス革命までに発展したのかが省略されているのが残念。本当になんでそんなことになったんだ。まったく想像できねぇ。想像の余地さえねぇ。
 こんな小説を例に出しながら、「ポルノ作品はその時代の幻想と病の性質を反映する」「ポルノは性行動の底にひそんでいる祭儀パターンを示している」といったことを語っていくウィルソンにはほれぼれするぜ。天才だっ!

 これよりバカ度は下がるのだが、こんなポルノ小説も紹介されている。
 G・アルボリーが書いた『堕落したオスポタール』は、主人公の公爵が、レズに肛門を犯されたり、死体を犯したり、サディスティックな殺人をしたりしたあげく、公爵がはめている女優の顔面に公爵の召使いが脱糞しながら、女優の内臓をえぐり取るという場面に達する。
 その後、登場人物全員が血と糞と嘔吐物を全身に浴るというシーンが続き、最終章では公爵は十二歳の処女を犯してから絞め殺し、そのあとで日本人にむち打たれて死ぬ……なんだこの無意味に陰惨な話は?
 ちなみにウィルソンはこの小説についてこう語る。「つまり、この小説は収拾がつかなくなってしまったのである」
 さすが!
 しかし、女優の顔面に脱糞しながら、その内臓えぐるってどういう状況なんだ?
 まったく想像ができないぜ!

 とにかくこんな小説までちゃんと読んで原稿を書くウィルソンはマジで偉い! 小説に貴賤ナシ! この姿勢を心の底から尊敬する次第であります!