No.47 ロースト・ヒポポタマス
土用の丑の日。
言わずとしれた、国民を上げて鰻を食いまくる一大イベント。
夏の土用の丑の日が近づくと、街中が鰻一色に染まります。
例えるならそれは、さしずめ街中がクリスマス一色に染まる12月のようです……。
恋人達は手を繋いで鰻を食べ、ライトアップされた街路樹にはたくさんの鰻が飾られ、辺りには鰻ソングが鳴り続けます。

とまあ、そこまでの騒ぎにはなりませんが、世間に鰻旋風が吹き荒れる事には間違いありません。
今年も例によってスーパーの店先は鰻で溢れかえりました。
……というのは言葉のあやで、実際に鰻があふれ出てきたら大ニュースになります。
あ、そんな事は言われなくてもわかりますか。失礼いたしました。

さて、世間の波に逆らうように、私は今年も鰻を食べませんでした。
べ、別にお金がなかったわけじゃ……。
く、くやしくなんか……ないんだからねっ!!

強がるのはさておき、鰻は高いですねぇ。
このコーナーの材料を探しにスーパーをさまよっていても、やっぱり高かったです。

……が、しかし!?

野球は9回ツーアウトから、スーパーは閉店間際が安い!!
なんと『半額』のシールが貼られた鰻のパックが一つだけあるじゃありませんか!!
すぐさま手に取ったのは、言うまでもありません。

いや、別に安かったから手に取ったっていうわけじゃなくて……。
べ、別に半額じゃなくったって買えるんだからねっ!!
たまたま手に取ったものにシールが貼ってあっただけよ!!
か、勘違いしないで!!

ほくほく顔で、半額になる前の元の値段を見てみた。

490円。

………………。
どんだけ高いんだよ、元の値段……。
あきらめて半額の鰻を元の場所に戻したのは言うまでもありませんでした。

ふと、そのまま考え込んでしまった。

鰻って、蒲焼き以外の料理形態、見ないなぁ……。
まあ、塩焼きとか他にも調理方法はたくさんあるんでしょうけど、蒲焼きが一般的に広まりすぎています。
しかしですよ、そもそも鰻の蒲焼きと言っても鰻自体があの味の素なのでしょうか?
蒲焼き形態で焼いてあったとしても、タレがかかっていなかったらそれほど人気の食べ物と言えるのでしょうか?
逆に言えば、その辺のシャケあたりに蒲焼きのタレをかけて食べても似たような味がするのではないでしょうか?

鰻を否定するわけではありませんが、不幸なことに鰻の蒲焼きのあのおいしさは、タレにあると悟ってしまったようです。
仮にご飯の上にふかしたジャガイモをのせて、蒲焼きのタレをかけても美味しいに違いありません!!

ということで、半額になって490円の鰻の蒲焼きをあきらめ、タレだけを買って帰ることにしました。
その額100円!!
す、少しは安いじゃないの……。
だ……だからって勘違いしないでよ……。
鰻を買って帰ると……お、重たいから、タレだけにするんだからねっ!!





ウォッカ : 40ml
蒲焼きのタレ : 20ml
炭酸水 : 適量





今回は鰻重をモチーフにしたカクテルを作ります。
鰻+米で構成される鰻丼を再現するために日本酒をベースにしようかとも思いましたが、蒲焼きのタレ味が弱まってしまってはいけません。
より味のしないウォッカをベースとして使うことにしました。

まずはタレ20mlを氷の入ったシェイカーに入れます。





次にウォッカを40ml注ぎます。
注いだらシェイカーの蓋を閉じ、ガシガシとシェイクします。
そりゃもう、キンキンに冷えるほどに振るべし!





グラスに注ぎます。
ん、なにやらタレには具が入っていたようですね。
鰹節のような物が入っていました。





そして最後に炭酸水を入れて完成!
鰻重をモチーフにしたカクテルです。





醤油っぽいようでいて、甘い匂いが漂ってきます。
鰻重のカクテルなんて、贅沢じゃありませんか!
世界広しといえども、土用の丑の日に鰻重カクテルを飲むなんて文化はどこにもありません。(土用の丑の日は過ぎてますが……)

おそらく世界初の試み!
四の五の言わずに味見をしてみることにしました。

辛い!

タレの割合が多すぎたようです。
ん……?

鰻重の味だ!

甘辛醤油風カクテルは、鰻重の味がします!!
というか、鰻重のタレの味がします!!
鰻の味も、ごはんの味もしません!!

だんだん、泣けてきました。

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